大工塾ネットワーク「杢人の会」
コラム

毎回、担当の大工が日頃考えている疑問や悩みを本音で綴っていきます。

大工の本音
コンテンツ








01:建築の行方
02:工務店の家つくり
04:温故知新
06:覆い隠すものと覆い隠されるもの
07:設計屋と大工の関係とは
08:季節を感じながら
09:ウソ
10:作業場考
11:手間をかけるという事
12:廃棄物は田舎の山に
13:和のつくり
14:サスティナブルな社会へとは?
15:逝きし世の面影
17:愛すべき不良老人たち
18:大工、街に出る…?
19:ゆっくり経年変化する家を建てたい
20:予算と期待度
21:職人不足
22:楽
24:大工最高 10項目
25:住宅のビニールハウス化?
27:改築という仕事
28:年の瀬に思ったこと
29:住む人、設計する人、つくる人
30:大工が自分の家をかまいだすと…
31:新しい地図をつくる
32:プルトニュウムの風に吹かれて行こう
33:震災後あらためて思う
35:震災の地を訪れて
36:遅ればせながら
37:「ありがとう」
38:感謝
39:協労から学ぶ
40:夫が大工になって
41:サボるアリ
42:職人の打ち合わせ
44:メンテナンス
45:「手書き」は消滅させられている
46:薪小屋
47:二つのさしがね
48:ブリコラージュな生き方
49:ブリコラージュ再考
50:ブリコラージュ再再考
51:しょうがない
52:答えはどこに
53:徒然
54:もっときちんと考えねば
55:小さい仕事

■高性能住宅先進地・北海道での「木組みの家」づくり


大工塾や杢人の会の集まりで「北海道から来ました」というと、たいてい驚かれます。
そして、北海道の家づくりの話をすると、もっと驚かれます。

北海道は日本における「高断熱・高気密」住宅の先進地です。
函館近辺の一部を除いて、気候区分としてはT地域。
冬は‐10℃を下回る日も珍しくありません。

そういった過酷な環境の中では、「寒い家の中で沢山着込んで暮らす」というのを望む人はいません。
外がどんなに寒くても、家の中だけは暖かく。
雪の降る寒い夜でも家の中は25℃なんてあたりまえ。
風呂上がりにTシャツでビールを飲むのが「暖かくて文化的な」生活なのです。

一方、そのエネルギー源となる灯油が値上がりし、原発も止まって、住宅にかかる暖房費は増加の一途。
エネルギー(お金)を使わないで家を暖かくするには、断熱性能を上げるしかありません。
そうして北海道の家の断熱はいよいよ分厚くなってきました。

札幌近辺では24kグラスウール換算で
壁200o、天井300o、基礎廻りに発砲系の断熱材を100o程度が新築の標準スペックです。
他の地域よりも暖房にかかるエネルギーが大きい北海道では、暖房費をいかに減らすかが大切。

無垢材とか漆喰とか自然素材とか、そういうニーズも確かにありますが、それはあくまで「暖かい家」があってのこと。
「冬は少し寒くても我慢して。昔の家はみんな寒かったんです」なんて、誰も聞いてくれません。問題外。
古くても骨組みのしっかりした家が「寒いから」と言う理由でどんどん潰されている現状を見れば、暮らしの器として「暖かい家」であることは必須条件です。

これまで建ててきた家はいずれも「長ほぞ・込み栓・渡り顎」で組んできましたが、どれも「そこそこ暖かい家」にしてきました。
構造体としての土壁は現時点であまり現実的ではないので、面材で剛性を確保して壁の中に断熱。
最近は構造の外にさらに断熱層を設けて、断熱性能を上げることもあります。

こうやって、躯体以外の部分にどんどん予算が取られていってしまう現状の中で、なぜ「無垢・手刻み・木組み」なんてまどろっこしい事を続けていくのか。
この理由を施主にどのように伝えればよいのか。

ここ数年はそればかり考えていますが、いまだスッキリと答えられていません。


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齊田工務店 齊田綾

齊田 綾

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