大工塾ネットワーク「杢人の会」
コラム

毎回、担当の大工が日頃考えている疑問や悩みを本音で綴っていきます。

大工の本音
コンテンツ








01:建築の行方
02:工務店の家つくり
04:温故知新
06:覆い隠すものと覆い隠されるもの
07:設計屋と大工の関係とは
08:季節を感じながら
09:ウソ
10:作業場考
11:手間をかけるという事
12:廃棄物は田舎の山に
13:和のつくり
14:サスティナブルな社会へとは?
15:逝きし世の面影
17:愛すべき不良老人たち
18:大工、街に出る…?
19:ゆっくり経年変化する家を建てたい
20:予算と期待度
21:職人不足
22:楽
24:大工最高 10項目
25:住宅のビニールハウス化?
27:改築という仕事
28:年の瀬に思ったこと
29:住む人、設計する人、つくる人
30:大工が自分の家をかまいだすと…
31:新しい地図をつくる
32:プルトニュウムの風に吹かれて行こう
33:震災後あらためて思う
35:震災の地を訪れて
36:遅ればせながら
37:「ありがとう」
38:感謝
39:協労から学ぶ
40:夫が大工になって
41:サボるアリ
42:職人の打ち合わせ
44:メンテナンス
45:「手書き」は消滅させられている
46:薪小屋
47:二つのさしがね
48:ブリコラージュな生き方
49:ブリコラージュ再考
50:ブリコラージュ再再考
51:しょうがない
52:答えはどこに
53:徒然
54:もっときちんと考えねば
55:小さい仕事

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■もっときちんと考えねば

少し前、ボルトを買った。建築用の普通のボルト、180mmx12mm、いわゆるZマークというヤツで、普通の街の金物屋で。
価格40円也。
で、「おいっ、ちょっと待てよ。」となった。
普段の仕事ではなるべく建築金物に頼らない仕事を心がけていて、たまに少数買ってはいるが金額はあまり気にしていなかった。
40円、大した金額ではないが、込み栓の価格と比較して、「ん?」なのである。
込み栓とボルト、どちらも木造住宅の躯体の接合部に用いる。厳密には違うが用途はほぼ同じではある。
私が最近使う込み栓は79円。以前は自作していたが、自作した場合は150円前後位なのかなと思う。
込み栓を用いて接合する際は色々と条件があり、その接合部の加工にもやや手間がかかる。その加工に便利な機械は数年前に生産中止で新品はもう手に入らない。
(では何故、込み栓を選択するかという理由はえらく長くなってしまうので、ここでは述べない。)
海外の鉱山で採掘された鉄鋼石を精錬し、加工成形してメッキ処理までしてあり、小売店までいくつかの流通経路を経たモノが40円。
方や、近所で伐採したナラ材を製材して貰い、自分で乾燥させて自作したモノが150円。
「???」である。
いろいろと考えてみて出た答え「工業技術の進歩恐るべし、市場経済あなどれん。」
膨大なエネルギーと資本の恩恵で出来たモノと、身近な素材と人の手間でできたモノの比較の一例なのかと。
そんな事を考えながらふと自分の生活を見渡すと、「ごめんなさい、反省します。」と言うしかない現状に気付かされる。
工業製品を一つでも減らす家造りを目指し、そのために腐心してるといいながら、工業技術と経済にどっぷりと浸かった生活をしてしまっている現実。
我ながら「残念過ぎ」である。
もっときちんと考えて、日常生活から考えねばならないなと。
江戸時代まで戻るのは無理にしても、生活に関わるモノの由来をきちんと考えて選択する生活をしないと、仕事に説得力がない。
今更ながらにそんな事を書いている自分に更に、「ごめんなさい、これからはちゃんと考えます。」と恥じ入ります。
反省と同時に、そんな生活を実践している先輩方の存在に改めて尊敬の念も抱きますし、一緒にこれから歩んでいけそうな知人が近くにいることに感謝。

あと、前回の私のコラム「遅ればせながら」で書いた木造テントの現在について少し。
現在、宮城県石巻市の仮設商店街「石巻立町ふれあい商店街」で使ってもらっています。
喫煙所だったり、ちょっとした休憩所、商店街や近所の方の集まりや各種イベントなどで活用してもらっています。
無料のレンタルサイクル置き場も併設してますので、石巻にお立ち寄りの際は是非。


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伊藤達生

伊藤達生

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