大工塾ネットワーク「杢人の会」
コラム

毎回、担当の大工が日頃考えている疑問や悩みを本音で綴っていきます。

大工の本音
コンテンツ








01:建築の行方
02:工務店の家つくり
04:温故知新
06:覆い隠すものと覆い隠されるもの
07:設計屋と大工の関係とは
08:季節を感じながら
09:ウソ
10:作業場考
11:手間をかけるという事
12:廃棄物は田舎の山に
13:和のつくり
14:サスティナブルな社会へとは?
15:逝きし世の面影
17:愛すべき不良老人たち
18:大工、街に出る…?
19:ゆっくり経年変化する家を建てたい
20:予算と期待度
21:職人不足
22:楽
24:大工最高 10項目
25:住宅のビニールハウス化?
27:改築という仕事
28:年の瀬に思ったこと
29:住む人、設計する人、つくる人
30:大工が自分の家をかまいだすと…
31:新しい地図をつくる
32:プルトニュウムの風に吹かれて行こう
33:震災後あらためて思う
35:震災の地を訪れて
36:遅ればせながら
37:「ありがとう」
38:感謝
39:協労から学ぶ
40:夫が大工になって
41:サボるアリ
42:職人の打ち合わせ
44:メンテナンス
45:「手書き」は消滅させられている
46:薪小屋
47:二つのさしがね
48:ブリコラージュな生き方
49:ブリコラージュ再考
50:ブリコラージュ再再考
51:しょうがない
52:答えはどこに
53:徒然
54:もっときちんと考えねば
55:小さい仕事

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■逝きし世の面影

これは最近私が読んだ本のタイトルで、幕末から明治初期にかけての日本社会を、当時日本を訪れた欧米人の観察記録を通して描いた本です。

幸福そうな笑顔、陽気でよく笑う、礼儀正しく親切、おおらかで、子どもが大切にされている、動物との共生、仕事や生活そのものを楽しむ。こうしたことが、ある一部の地域や階層のみのことではなく、庶民の最下層にまで行き渡っていたそうです。私の思い描いていた幕末の農民や下層階級の人々のイメージが一変する内容でした。

そんななかで、私が一番興味を持った言葉が、「この国においては、ヨーロッパのいかなる国よりも、芸術の享受・趣味が下層階級にまで行きわたっているのだ。(中略)日本では、芸術は万人の所有物なのだ」「なぜ日本ではこのようなことが可能なのだろうか、それは、
日本の職人がたんに年季奉公をつとめあげたのではなく、仕事を覚えたのであって、従って自由な気持ちで働いているからだ。日本人は芸術的意匠とその見事な出来栄えを賞揚することができる人々なので、職人達は何処の地に身を置こうと自分の仕事振りが求められることを知っているのである。日本におけるよき趣味の庶民レベルでの普及こそ、職人が叩き大工ではない一個の芸術的意欲を保持しえている」

理想的な職人の姿が幕末の世にはあったようです。

高度経済成長期から始まった大量生産大量消費から、地産地消へと住宅も徐々に移行しつつあります。私の住む栃木でも大手ハウスメーカーだけではなく、地域密着の中規模工務店に家を頼む人が増えてきました。小さな工務店でも、お客様のニーズをしっかり理解し、真心こめて家造りをすることで仕事を増やしている工務店もあるようです。

職人が芸術的意欲を持ち、住まい手にとって本当に良い家とは何かを考えながら家造りをすることで、日本の住宅文化を職人の手に取り戻せるのではないでしょうか。


「暮らしの器である家は住まう人のライフスタイルを映す鏡である」
家は住まい手の所有物である一方、街の景観の一部でもあります。そして家を建てるということは、社会的責任も同時にあるのではないかと思います。
多くの建て主が「なるべくゴミを出さない」「国産材を使用しているか」などを、建築会社を決める重要な一つになるように、幅広い活動を心がけていきたいと思います。


株式会社 家守
株式会社 家守:関根陽一

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